2014年8月9日土曜日

NEW JOURNAL!

8月10日発売のサーファーズ・ジャーナル!

【From the Editor / 編集部より】

ローカルではないサーファーとサーフィンの話をすると、いつも話題にあがるのはローカリズムのことだ。ローカリズムにはさまざまな形があると思うが、あまりいいイメージをもたれていないのは共通している。この号でも、ローカリズムを描いた記事がいくつか掲載されている。基本的にローカルとは自らの勝手な思い込みで、幅を利かせている人間を指すといっていいだろう。ローカリズムが強いポイントはなかなか入りづらく、敬遠されているのも事実だ。しかし、それによって守られているものもあると思う。_
じつは昔、僕もサンフランシスコにあるフォート・ポイントの怖いローカルのひとりだったそうだ(笑い)。当時、僕たちはだれもそう思っていなかったけどね。フォート・ポイントはゴールデンゲート・ブリッジの真下にあり、国立公園に囲まれているから観光客もたくさん訪れる場所だ。ダウンタウンから20分で行けるので、ランチ時間にスーツ姿で現れ、海に入るサーファーも多かった。ポイントの前には観光客用の駐車場もあって、ツアーバスが何台も止まっているような、シークレットとはほど遠いポイントだ。とはいえ、僕は初めてそこに入ったときは、5~6人しかサーファーがいなかった。
昔からそこに入っていた、ハワイ出身のジノというサーファーに連れていってもらい、ローカルに紹介してもらったが、ローカルたちの返事は顎あごをあげるぐらいだった。僕は、彼らの様子を見ながら海に入った。最初のうちはセットがきても乗らずに、ローカルにゆずっていた。頃合いを見計らって、いい波に乗ろうと思っていたんだ。でも波は1セットで5~6本だ。ローカル全員が1本ずつ乗っていくと、僕の波はもうない。次のセットがくる前にみんながまたアウトに出てくるから、僕の順番は永遠にこない計算だ。いつになったら乗れるだろう、嫌気が差したころ、やっと、僕がいるところによさそうな波がきた。
僕の隣にいたローカルの顔を見ると、彼が顎で「行け!」と合図してくれた。僕はフォート・ポイントで初めて波に乗ろうとパドルしたが、あまりにも波が急にもち上がり、ボトムまではフリーフォールに見えるほど急転直下だった。そのうえ、目の前にばかでかい岩があって、僕はビビってしまいテイクオフできなかった。すると、さっき僕に行けと合図してくれたローカルサーファーが僕にこう言った。「そのぐらいの波でいけないなら、今日は乗れる波はないよ」。僕は、ローカルだったら乗れるはずの波を邪魔してしまったようだ。アメリカではそう言われたら、もう上がったほうがいいと言われているのと同じだ。
英語ではこういう言葉がある。「Go offand lick your wounds!」怪我をした犬は、逃げて傷口をなめたほうがいい。この言葉は、そのときの僕にぴったりだった。二度とローカルは波を譲ってくれないだろう。僕は悔しかったが、すぐに海から上がって、陸から波を見ていた。 そ
TSJJ_4-3_124れから何回も、波が小さくて人が少ないときに入って、フォート・ポイントの波に乗る練習をした。そして何年か後には僕もそこのローカルになっていた。僕に注意してくれたサーファーとも仲良くなり、ローカルに認めてもらえて嬉しくなった。仲間に入れば、彼らもそんな怖い人たちではないとわかった。考えてみれば、波の無駄遣いに腹を立てるサーファーがいてもおかしくない。知らないやつに邪魔された気分になるんだろう。それはどこのポイントでも同じかもしれない。_
今回入っている記事「波乗り島の憂ゆううつ鬱」も、そんなローカリズムとリゾートの問題がテーマだと言える。近年モルディヴでは、リゾート施設がポイントを独占し、ローカルたちを排除するという動きが出はじめている。そこに政治、環境、ドラッグ、ローカリズムなどが複雑に絡み合って大きな問題になってきている。いい方向へ向かうには時間がかかるだろう。_
「PRIBOY」でも、バリで増えつづけるロシア人たちとローカルたちとの摩まさつ擦に触れている。サーフカルチャーがまだ浅いロシア人たちにはこれから学ぶことがたくさんあるのだろう。
「リトル・ポット・ブルース」は逗子にある小坪のストーリーだ。ザ・サーファーズ・ジャーナル日本版が初めて掲載した、日本のポイントの話だ。僕自身が入っているポイントだから、臨場感もあると思う。いままでの日本のサーフィン雑誌はローカルポイントの問題を避けてきたように思うが、ちゃんとリスペクトをして書けばいいのではないだろうか。ローカルとは何か? ローカルゆえの使命もあるはずだ。改めて考える機会になったら光栄だ。
そもそも小坪の記事を書こうと思ったのは、日本でも有名な湘南というサーフタウンにありながら、ほかのポイントとはまったく違う雰囲気に僕自身が惚ほれ込んだからだ。それこそローカル色が強いシークレットポイントと言われていること、漁村とリゾートが同居するロケーション、頑かたくなで頑固な地元の人たちは打ち解けると楽しく、今は波がなくても彼らのもとを訪れてしまうほどだ。
先日、海外のサーファーでアーティストのアレックス・ワインスタインとチャールズ・アドラーを小坪に連れていった。彼らは初めてのポイントに入ったあと、ピッコロでランチをして、山へ登った。そこにはイラストレーターの花井祐介もいた。小坪の村の路地の奥に入ると、167段の階段があり、その先に天あまてらすおおみかみ照大神を祭った神社がある。木立の向こうに海が見えるロケーションは、気持ちがいい。いつまでも、こんな景色であってほしいと思う。小さな村として生きつづけてほしい。その日は海外サーファーとともに、夕陽を眺めながら、ネギシで地元の人たちとビールを飲んだ。彼らもとてもエンジョイしていて、僕は波だけでなく、小坪という村をシェアできたことが嬉しかった。_
これからも、日本のすばらしいポイントも紹介していきたいと思う。きっと、それぞれに歴史や魅力があり、そこを愛してやまないローカルたちがいるに違いないから。̶ ジョージ・カックル


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